「暗闇のなかを、手探りでずっと歩き続けているみたいです」
「もう、やめた方が楽になれると思う。絶対にそうだと思うんです」
力なくそう語りながら、男性はちょっと笑っていました。
ー笑ってますね?
「え?そうですか?」
そして、また笑い始めました。
「ああ、そうですね。なんか可笑しくて」
ー何が可笑しいんでしょうか?
「なんていうか、、、こんな自分が、ですね。
夢を持って起業したのに、人に夢を与えたくて独立したのに、
自分の夢が破れようとしているなんて、、、。笑えますね」
ーなるほど。確かに笑えますね。
「えっ!…いや、まあ、、、そうなんだけど…」
そして、沈黙。。。。
「…でも」
ーうん。
「…でも、ここまでよくやったなとも思うんですよ」
ーですね。
「だから、、、もうちょっと続けてみようと思います」
ーうん。本当にもうちょっと、なのかもしれませんから。
・・・・・・・・・・・・
この男性が絶対に諦めないことを、僕は信じていました。
それは、それまでのセッションで、この方の中にある「揺るぎない何か」を感じていたからです。
その「何か」に対する信頼を、ご本人が再び感じること。
このとき、僕が意識していたのはそれだけです。
だからこそ、男性は沈黙という大切な「空間」を通じて、自己への信頼を取り戻したのです。
結果が出ないときは、自己への信頼が揺らぎます。
「諦めた方が楽だし、賢明だ」と思うこともあります。
僕も、そうです。
でも、そこで立ち返られる「何か」が自分の中にあるか、どうか。
まったく惑うことのない、恒星のような「何か」を、胸の内に感じられるか、どうか。
「心のダイヤモンド」を磨いていけば、それが可能になります。