ソウル・インタビュー

ブームは去り、本質が生き残る時代へ

ソウル・インタビュー
「売れる強み」の専門家 小山弘樹さん(株式会社スマートチェンジ代表取締役)

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―小山さんは2012年から起業家の支援を続けられいますよね。何か変化などを感じら れていますか?

 
起業する方の傾向が、明らかに変わってきていますね。 当初は経歴がすごくて、実力も自信もあって、セルフイメージは様々でしたが、それなりに覚悟のある方がほとんどでした。起業する人って、やっぱりこういうタイプだよなと思うこ とが多かったです。それがここ2、3年は、普通の会社員や主婦だった人が「自分でもでき るんじゃないか」と本気で考えて、行動に移すようになってきています。
 
―「起業ブーム」と呼ばれていますよね。
 

そう。「ブーム」というと一過性でいい印象はないけど、僕は決して否定的にだけ捉えてはいません。時代の流れ、社会変化の現われなんだと思う。それまでの「こういう生き方をし ないといけない」といった常識が変わり、もっと自分のやりたいこと、自分の「心の声」に 従って生きてもいいんだ、それが可能なんだと考える人が確実に増えているように感じ ます。
 
ただ、それと起業は必ずしもイコールではないですね。ここを見極めないまま、高額な起業塾などに通ってノウハウに振り回さている人が増えていることが気に掛かります。
 

-確かに、一律のノウハウを教え込むような塾やコンサルが多いですね。
 
ノウハウそのものに良い、悪いはないのです。それ以前に、そもそもクライアントがやろうとしているビジネスが、その人に合っているのかどうか。そこが一番大切なポイントです。
 
「月商数百万」などというごく一部の成果に憧れて、間違った方向性のまま突き進もうとし ている方が少なくない。コンサルもそのズレに気付くことなく、ノウハウだけを押しつける。 だから上手くいかないし、ある程度上手くいっても瞬間風速的な成功に終わってしまう。当 然ですよね、その人のやるべきことじゃないのだから。そういうコンサルの在り方に、ちょ っと疑問を感じています。ビジネスをスタートさせる前に、もっと本質的なところをしっか り見つめる必要があるのです。
 
 
―もっと本質的なところ?

 

ええ。結局、その人が「心の声」に従って、どういうふうに生きたいのかということに尽きるんです。そのためには、僕は3つの段階を踏む必要があると感じています。
 
まずひとつは、本当に「心の声」を聴き分けられているかということ。単に「ワクワクするからやりたい」というのは多くの場合、欲やエゴの声に従っているだけです。本当にその方向性でいきたいと願っているのか。ここで間違うと、仮にちょっと上手くいっても、あとで 必ず方向性を見直すことになります。 心の声を聴き分けられたなら、今度はその通りに行動できるかどうか。ここで立ち止まる人 は少なくありません。最後にその生き方を展開し、発展させていけるかどうか、ということ ですね。

 

―その「心の声」は、小山さんはどのように聴き分けられているのですか?

 

う~む…。これはちょっと抽象的な表現になってしまいますが、その人の話す声ですよね。 声のトーン。そこに確信の度合いが感じられるんです。エゴや先入観、どこかで見聞きした情報で言っているのか、それとも腹から言っているのか。聴いていると、それが分かります。

 

-では、「心の声」に従って方向性が合っていれば成功しますか?

 

実は、そこが微妙なのです。 なぜなら、人によって違う。 ビジネス経験、スキル、人生 の段階などが全然違うん です。正しいオーダーをし ても、なかなか結果に結びつかないのは、そういう理由です。

言い方を換えるなら、ビジネスの準備が出来た人が自分にあったやり方で行動すれば、成果 は出ます。でも、ビジネスの前にやるべきことがある人は、まずそちらを優先するほうがい いし、その方が結果として早く幸せになれます。

 

-ひとり、ひとりの段階に応じたコンサルティングが必要だと。これからも、そこを重視し ていくということですね。

 

そうですね。その人の本筋に沿って「心の声」に従っている人には、基本的にその道を進む ことを進めます。いきなり大化けすることはないかもしれないけど、少しずつでも前進して いけば、じわじわとお客さんがついてきて、必ずその道で幸せになれると信じています。だ から「諦めずに続けて」と。そうすれば多くの場合、光が差してきます。そういうクライアントさんをたくさん見てきました。

これまでもそうしたことを重視はしてきましたが、もっとその部分を強めていこうと考え ています。自己啓発系のことや、スピリチュアル的な話なども含んでいくことになるでしょ うね。いままでそういうことは避けてきたけれど、これからはある程度受け入れられるので はないかと感じています。

 

-なぜそう感じるように?

 

僕のところに来られる方の多くは、「自分が何ものなのか知りたい。小山はそれを助けてく れる」と感じている方が多い。それはやっぱり、僕のベースラインなんだと思うのです。「売れる強み」というのも、本質的には「あなたは本来、こういう人だ」ということを伝えてい るので。

それから、時代的な背景もあります。いまは20世紀型の組織、仕組みが通用しなくってき ていますよね。企業でも、政治でも。だけど次の流れが見いだせないので、仕方なく旧来のシステムにしがみついている、そんな印象があります。

そんな中、「もう限界だ」と感じてシステムから離脱し、新しい生き方を求める人も増えてきている。そういう人たちの思いを現実化させていくことも、これからの僕の役割だと考えています。

 

-確かにシステムの崩壊は、至る所で起こっていますね。ではこれから、どんな社会になっ ていくと思われますか?

 

 
企業がいままでのように、多くの社員を雇わなくなると思います。短期的契約で繋いでいく 形が主流になるでしょう。つまり、会社に雇われる生き方が減っていく。それぞれが自分の 食いぶちを探さないといけない時代になるように感じています。
 
そもそも、いまの一カ所に数十人、数百人を集めて、同じマネジメント手法で成果を上げる というスタイルは、産業革命以降の流れですよね。ここ100~200年が、そういう時代だったというだけ。これからはそうじゃなくなる気がします。
  

 

―なるほど。だとしたらなおさら、経歴とかスキルといったものより、「自分の本質」「心の 声」というものが大切になってきそうですね。 

 

所属する企業や組織ではなく、「自分は、自分が選んだ人生を生きている」という納得感だ けがよりどころになる時代がくるでしょうね。

 
ひと昔前のように、一流企業や大銀行などで働いていることが自分のアイデンティティとなる時代は、もうすでに終わっています。会社と個人との関係が、どんどんドライになってきている。外資系に長くいたので、これは自分としては当然の流れだと感じてもいます。加えて、人生 100 年と言われる時代が近づいていますよね。好きでもなく、経済的に保証され ているわけでもない仕事を、ただお金のためだけに何十年も続けていくのって、相当に厳し いし、苦しいと思いませんか。

 

 
―それは辛いでしょうね。意義も、目的も感じられないかも。

 
そうだと思いますね。「好きなことで生きていくなんてできない。なに甘ったれてるんだ!」と長い間言われてい たけど、これからは好きでもない仕事じゃ続けていけない社会になっていく。仕事に対して 何らかのコミットメントというか、自分の心との一致感がなければ、そもそも成立しないし、評価もされない、そんな時代になってきていると感じています。
 

 

―そうなると、起業コンサルの役目も変化していきそうですね。

 

 
当然そうでしょうね。 目先の成果ではなく、しっかりとその人そのものを見ることができて、「心の声」に沿った 生き方を応援していく。一方で、経済的自立の道も具体的に示す。そんな幅広い能力が必要 とされてくると思います。言葉にすれば、当たり前のこと。時代は大きく変わっていっても、 結局本質的なものが必要とされ、生き残ってくのだと思います。 (インタビュアー 大村隆)
 
【小山弘樹】
経営コンサルタント他を経て成長期のデルに入社。 採用マネージャーとして毎年 2 ケタ増の急拡大を支 えるが、38 歳のとき息子を亡くし人生を見つめなお す。その後グッチ人事部長等を経て独立。 1,500 人以上を面接し 300 人以上を昇格・異動さ せた経験からビジネスマンの隠れた才能とその売り 出し方を的確に見抜く。現在は「メンタープログラム」等を通じて、コーチやコンサルタント、研修講 師、カウンセラーなど幅広い職種での起業やビジネ ス拡大を実現させている。趣味はフルートとサイクリ ング

 

ソウル・インタビューは、起業家・経営者の方の情熱をお聞きし、記事にします。
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