ソウル・インタビュー

医療現場はコーチングで変わる

看護師として長いキャリアをお持ちの谷津まさよさん。コーチングに出会い、ご自身が大きく変化し、いまその変化を医療現場へ伝えようとされています。

そんな谷津さんへのインタビュー、前編です。

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―谷津さんは看護師として長いご経験をお持ちですよね。コーチングセッションも医療従事者向けにされているそうですが、どのような想いを持って続けられているのでしょうか?

ドクターが看護師や患者さんにコーチング的な関わりをするなら、病棟全体が大きく変わるはず。そういう確信を持って活動を続けています。

私の学んだコーチングはアドラー心理学をベースにしているんですね。

簡単に表現するなら、「勇気づける」「貢献感を高める」「相手の身になって聞く」という3つの要素を大切にしてコミュニケーションを育んでいきます。それらを意識するだけでも、現場の空気は全然違ったものになっていくんです。

―例えば、どのように変わるのですか?

いまは少なくなりましたが、以前のドクターの多くは「俺の言うことは絶対」「言われたとおりに動け」というタイプがほとんどでした。

そうした現場では、周りの看護師が相談することも難しいし、何か気になることがあったとしてもドクターに聞きづらいため、黙ったままになりがちです。それが後々、大変なことに発展する場合もあります。

でも、コーチング的な関わりができるドクターがいるなら、看護師は相談しやすくなるだけでなく、やる気だって変わっていきます。話を受け止めて、認めてもらえるだけで自己肯定感が上がるので。ほんの2、3分、耳を傾けるだけでもいいんです。それだけで、病棟の雰囲気は大きく変化していくはずです。

―自己肯定感が上がる。ということは、逆にいうと看護師は自己肯定感が低い人が多いと?

そう思います。医療現場では何か問題が発生すると、「起きた理由を突き詰めて、原因を見つけ、解決する」というパターンで動かざるを得ません。いわゆる原因論です。

そういう毎日を送っていると、どうしても現場の看護師たち自身も原因論的な考え方に偏っていくんです。私自身、45年も看護師を続けているので原因論がしっかり根付いていました。

自分の中にどんな問題があるのか、何が原因なのか、というふうに自分を責め、否定する傾向が強まっていきます。だから、看護師のなかに自己否定が強い人が多くなるんすね。

一方で、コーチングは目的論です。未来を描いて、その実現に向けてステップを踏んでいく。現場や仲間のために、「貢献している」「役に立っている」という感覚が育まれるなら、自然と自己肯定感も上がっていくはずです。

(後編へ続く)

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