ソウル・インタビュー

「だめな自分」「情けない自分」「みじめな自分」……そのすべてを包み込むものこそ。

 

 

「ワクワクは、本来の自分に気付く入り口にすぎなかった」
コーチとして15年以上活動している赤木広紀さんが、自身の体験から辿りついた「本来の自分」とは?

その核心が語られるインタビュー、後編です。

 

**********

―赤木さんも、そういう心境に?

 

何度か陥りました。うまくいかない状況になったときに、これまで見ようとしてこなかった自分に出会ってしまったんです。

だめな自分、情けない自分、みじめな自分、怠け者の自分……。そんな蓋をして押し殺してきた自分に、まさに直面してしまう。「成長」「向上心」「ポジティブ思考」といった言葉を信じて仕事に励み、周囲の評価も得てきたので、そんなネガティブな自分が許せないんですね。

だから、なおさら見たくない。そして自分をバッシングし続けて、さらに苦しくなって……。

でも、そのまま落ち込んでいるわけにもいかないので、歩み続ける覚悟を決めたんです。そして、見捨ててきた自分を真っ正面から受け止めてみたんですね。

すると、良い自分とか、だめな自分とかいうものはなく、すべては単なるひとつの資質にすぎないということが分かったんです。そこにレッテルを貼っていただけだったと。

 

―ひとつの資質?

 

そうです。例えるなら、資質は空に浮かぶ雲のようなものですね。空にはうろこ雲もあれば、入道雲もある。もちろん真っ黒な雨雲だってあります。なのに、それまでの自分は真っ白にまぶしく輝く雲だけを受け入れ、そうでない雲を嫌悪していたんですね。

でも、本当は良いも悪いもない。雲は、単なる雲に過ぎないですから。ワクワクも、情熱も、みじめさも、情けなさも、どんな形の雲もすべて包み込んでいる空そのものこそ、「本来の自分」だと気付いたんです。

 

―つまり、雲そのものに価値はないと。

 

いえ、そういうことではないんです。資質にはそれぞれ大切な価値があります。ただ、それが自分の全てではないということなんですね。例えば、虚無感にさえ価値があるんです。

僕はかつて、コーチングで目標達成することが虚しくなった時期がありました。目標達成は単にエゴの欲求を満たすだけで、クライアントを真の幸福には導けないと感じて。

しかしエゴを否定するということは、生きる意欲を否定するに等しい。すると何のためにコーチングをしているのか分からなくなり、3年近く強い虚無感の中で苦しみました。虚無と一体化していたんですね。

でも、そのお陰で自分にとって純粋に大切なものは何か、しっかりと見極めることができたんです。そしていまは、虚無も自分という空に浮かぶ雲のひとつだと受け入れることができています。

 

―なるほど。では、赤木さんのセッションも「空である本来の自分に気付く」ということをゴールにされているんでしょうか?

 

そこを押しつけたり、誘導したりということはしません。あくまで「クライアントファースト」で、本人が望む目標、進みたい方向に沿ってサポートを続けます。

ただ、こちらの視点として目標達成というゴール以外のものも見据えている、という感じでしょうか。

例えば、「月収100万円以上を達成する」というゴールを掲げる方を支援したとします。その過程のなかで、さまざまな課題が生じてきます。上手くいかないことも出てくるでしょう。でも、僕はその上手くいかない体験こそ大切だと知っていますし、それこそ「本来の自分」という意味では「とても上手くいっている」という場合もあるんです。

月収100万円以上というゴールを達成したなら、当然喜んでいいんですよ。喜びもなく走り続けていれば、いずれ必ず燃え尽きてしまうので。

でも、その喜びは、言ってみればスイーツのようなもの。人生の血肉となっていくような貴重な栄養は、むしろまったく稼げず、もがき苦しんでいる時期にこそあるのかもしれません。

そしてそのような体験こそ、まさに「本来の自分」に気付いていくための有難い恩寵となり得るのです。

 

―表面的な出来事だけではなく、人生の全体性を見つめている……そんなセッションに感じますね。クライアントはその中で自由に変化し、自由に気付いていけるのかもしれません。

 

自分が囚われているものが単なる雲だと気付けたならば、クライアントさんもとても楽になります。

だけど、気付くことが善で、気付かないことが悪ということではありません。実際、だれもが一生懸命生きているんです。そうして固有の人生を体験しながら、深層部分では「本来の人生」を生きているんです。どんなにぶ厚い雲に覆われているとしても、その背後にはいつだって青空が拡がっているんですから。(インタビュアー 大村たかし)

 

 赤木広紀(あかぎ ひろき)

 

大学卒業後、中小企業を対象にした研修・コンサルティング会社に営業として入社。 
経営者や経営幹部、中間管理職から一般社員まで1000名を越える人と幅広く面談を重ねる。2001年に28歳でコーチとして独立。オフィスファインネット(現、株式会社ファインネットワールド)を設立。現在までに 経営者・経営幹部・専門家 (公認会計士、税理士、医者、社労士など)・ビジネスパーソン・主婦・学生など、292人の様々な職業・年代の人たちに対し、4973回のコーチングセッションを提供。(2018年10月1日現在)。コーチングの世界的権威である国際コーチ連盟(ICF)が日本で認定するコーチングトレーニングプログラム (コーチA・CTIジャパン提供)をすべて修了。ICF認定プロコーチ。京都府在住。

**********
インタビュー式「響感プロフィール」

あなたの「最も伝えたいこと」をインタビューさせていただきます。
対談記事にまとめ、「響き、感じる」プロフィールに仕上げます。
完成した記事はPDF化し、お渡しします。

詳しくは、こちらから。