ソウル・インタビュー

感情に乗っ取られずに、人生を根本的に変容させていくには

 

「本来の運転手は誰なのか?自分の中に在る至善こそが、運転手なのです」

これまでに4万6000時間以上ものセッションを重ねてきたメンタルコーチ&トレーナーの馬場真一さんにとっての「至善」とは? 

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「ど真ん中」を磨くと、見えてくるもの

メンタルコーチ&トレーナー 馬場真一さん

 

―馬場さんはメンタルトレーナーとして30年近く活動されていますが、主にどのようなクライアントさんと関わってこられましたか?

 

これまでに個人相談は1万5000人以上、セッション時間となると4万6000時間を越えますが、特にこのようなタイプが多いということはありません。起業家やアーティスト、主婦、学生など、本当にあらゆる方のお話を聴いてきました。

 

―馬場さんはよく「ど真ん中」という言葉を使われますね。確か、メルマガのタイトルも「ど真ん中通信」。この言葉に込めた思いをお聞かせ下さい。

 

「ど真ん中」とは、そもそも人間に内在する本質を見極める目とか、真理といった意味で使っています。ただ、真理などと表現すると、とても難しい印象を与えてしまうので。

 

―馬場さんにとっての「ど真ん中」とは?

 

まさにど真ん中の質問ですね(笑)。

「至善に止まる」という言葉をご存知ですか?「真理であり、善である状態で在り続ける」という意味で、中国の古典「大学・中庸」に出てきます。

僕は19歳のときにこの言葉と出合って以来、「至善に止まるってどうすればできるんだろう?」とずっと考えてきました。「至善」こそ僕にとってのど真ん中であり、メンタルトレーニングにおいて最も重視している核心部分です。

 

―至善を意識して関わると、クライアントさんにはどのような変化が起こるのですか?

 

多くの場合、人はその場の状況や情報にかき回され、そのときの感情で選択を繰り返しています。言ってみれば、感情に自分のハンドルを乗っ取られているわけです。でも、本来の運転手は誰なのか?自分の中に在る至善こそが、運転手なのです。

自分が至善の状態であろうと意識しながら、相手を受けとめることを意識し続けていると、そのうちに相手の中の至善との共振が始まります。すると、相手もハンドルを取り戻し、本来行くべきところに向かい始めるのです。

 

―行くべきところに向かう……。共振して、ハンドルを取り戻すまでの間に、何が起こっているのでしょう?

 

ど真ん中に触れると、それまで感情に乗っ取られて気付くことのなかった、その人の叡智(ど真ん中の心の声?)が現れてくるんですね。

これは、その場の思いつきのアイデアとはまったく別ものです。根本的に生き方を変容させてしまうほどの気づきとなります。

 

―そうすると、行くべきところに向かい始めるわけですね。

 

そうですね。「理が整う」のだと感じています。太陽や月の運行と同じく、本来の自然な動きを取り戻していきます。もちろん、そうした本質的な変容に至るには、それなりの時間がかかります。

相手の中の至善を見つめ続け、可能性を信じ抜くことが絶対的に必要です。そういう意味でクライアントさんとのメンタルトレーニングの時間は、僕自身の修行の場でもありますね。

 

―なるほど。トレーニングを受ける方は、一様にそういう変化を辿るのでしょうか?

 

いえ、そんなことはないですね。

自分がどういう傾向の人間で、どんな性質(たち)を持っているのか。それらが原因となって生活のなかでどんな現実を生み出しているのか。根本的な変容に至るのは、そこに謙虚に気づき、自己理解を深めながら解決していこうと決断できる方に限ります。

自分の内側など見たくない、もっと簡単に楽になりたいという方は、またタイミングの合う時、本質的に解決しようと思われた時にどうぞという感じです。

 

―例えば、辛く、厳しい状況にある方でも、自分を見つめることから始めるのでしょうか?

 

状況や環境という外部に意識を奪われている限りは、変わることはできません。その状況から逃げることはできても、場所を変えてまた同じ悩み、苦しみが訪れます。それはまさに、根本解決していないからです。

厳しいときこそ、その状況にしっかりと根を張り、体験から学び尽くすことが大切となります。

「受け止め力」という言い方をしたりしますが、「もし私にそれを引き起こす原因や傾向があるとしたら?」の視点を忘れず、そこについては正面から向き合いながら、そのように人事を尽くすことは結果として、確実に自分自身を向上させていくことにつながるはずです。


―現実的に夫や妻の暴言や暴力、辛い職場環境で悩んでいる方には、かなり酷な話に聞こえるかもしれません。

 

そう思います。だから、相手がどの程度の受け止め力があるのか、本当に何を望んでいるのかといったことを、しっかりと見極めることが不可欠となります。

その方のセコンド役として、現状をなるべく具体的に共有させていただき、一つ一つを完了したり、確定していく…。このように、セッションで自分を深く見つめ、理解された方は、相手の言葉や態度が変わるなど、必ず現実にも変化が起こっていきます。

 

―個人セッション以外に、3か月の連続セミナーもされています。やはりそこも「ど真ん中」、「自身の本質との出会い」といった内容なのですか?

 

はい。その前提は変わりません。自分の人生を整理し、参加メンバーとの関わりのなかで気づきを深めて行きます。

特徴として、世の中のセミナーと違って、終了後三か月間は「勢いまかせでの新しい行動をしない」「メンバーとも個人的に連絡を取らない」というグランドルールを設けています。

 

―それはどうして?

 

よく、こうした自己啓発系のセミナーを受けると「会社辞めます」「好きなことで、ワクワクしながら生きていきます」という人がいますよね。そして、世の中にもそれを肯定する空気があります。

でも、僕的には「違和感」があるんです。自分を見つめ直すために僕のセミナーを受けたのなら、終了後のある一定期間は着実に気づきをカタチにしていくためにも、リハビリ的なその時間を取っていただきたいと思っています。

セミナーの参加メンバーとの、ある一定期間の個人的な接触を控えて頂いているのも同じ理由です。仲間内だけでわかり合って盛り上がってもまったく無意味です。

やはりけじめが肝心で「独りを慎む」ことも大切です。そこで気づきを深めながら、家庭や職場など自分の現実のなかで本質的に幸せを育んでほしいと願っています。

 

―自分たちだけで盛り上がっている……。思い当たる節があって、痛いですね(笑)。最後に、これから馬場さんが取り組みたいことを教えていただけますか?

 

そうですね。一貫して現在の取り組みを粛々と続けていきたいということと、様々な分野のプロフェッショナルの方々とのコラボレーションにより、若い世代向けに、今後継続していくことが出来るようなプロジェクトを構築していきたいという気持ちがあります。

最近では全国の中高生と関わる機会があるのですが、そのたびに「中高の6年間で、どれだけのものを失っているのだろう」と感じて、愕然とすることがあります。

たとえば部活動。勝ち負けいう結果だけを追いかけている場合がほとんどです。「何のために部活動をしているのか」という本質を問うことがない。手段が目的化し、ただ結果のためだけに必死になる。だから当然、生徒も教員も疲弊してしまいます。それは受験や就職活動でも同じです。

本質を磨き、自分の中の叡智に問い掛ける大切さ。教育現場でもそうしたことを伝えられるなら嬉しいですね。

                     (インタビュアー 大村たかし)

 

馬場真一(ばば・しんいち)


メンタルトレーナーとして研修・講座は1,600回を数え、個人相談累計は34,000回超。15,000人以上を個別に担当し、クライアントと向き合った時間は46,000時間以上という、他に類をみない圧倒的経験値を有する。 独自のスタイルにより、心の在り方に沿った「自己実現」「目標達成」を引き出す潜在能力の専門家として高い評価を得ている。
1970年長崎生まれ。思春期にストレス性の過労死によって父親を失ったことをきっかけに、「自分らしい在り方とは何か」を探求。一浪後に入学した青山学院大学をわずか3ヶ月で休学し、90年よりメンタルビジネスの世界へ。業界でも群を抜く実績と、90.0%の高いリピート率を誇るパーソナルコーチングは、「自分の未来にワクワクせずにはいられない」「不安が確信に変わった」と好評を博している。現在、大手企業研修をはじめ、経営者・起業家を中心に幅広い支持層を持つメンタルコーチとして注目を集めている。山口県萩市在住。 

 

 

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